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商標審査基準(改訂第12版)の公表④(2016年3月30日)

<新着ニュース> by 永露祥生

今回は、商標審査基準〔改訂第12版〕の改訂のポイント(4)とされている、
使用により獲得した識別力に関する取扱い(商標法第3条第2項)」について見てみたいと思います。
※商標審査基準〔改訂第12版〕:https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pdf/12th_kaitei_h28/01.pdf

ご存じの通り、商標法第3条第2項は、識別力がないとされる商標であっても、
それが実際に使用された結果、需要者が何人の業務に係る商品や役務であることを
認識するに至っているような場合には、例外的に商標登録を認めるという規定です。

そして、改訂前の第11版までは、本項が適用される要件として、
出願商標と使用商標が同一であり、かつ、商品又は役務も同一であることが
定められ、実務上も厳しく運用されていました(原則として、完全一致)。

改訂後の第12版では、この点について、商標や商品・役務が「厳密には一致しない場合」でも、
本号の適用可能性があることが明記されています。

なお、商標の同一性については、改訂前の第11版においても「厳密には一致しない場合」について
記載がありましたが、あくまで「本項の判断において考慮するものとする」というものでした。
改訂後の第12版では、これが「同一性が認められる場合」として、積極的に明記されています。

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1.商標の「使用」について
(1)商標について
出願商標と使用商標とが外観において異なる場合は、
出願商標を使用しているとは認めない。

ただし、出願商標と使用商標とが外観上厳密には一致しない場合であっても、
外観上の差異の程度や指定商品又は指定役務における取引の実情を考慮して、
商標としての同一性を損なわないものと認められるとき

出願商標を使用しているものと認める。

(例1)同一性が認められる場合
① 出願商標と使用商標が文字の表記方法として
縦書きと横書きの違いがあるに過ぎない場合

② 出願商標と使用商標が共に一般的に用いられる字体であり、
取引者又は需要者の注意をひく特徴を有せず、両者の字体が近似している場合

③ 出願商標と使用商標の立体的形状の特徴的部分が同一であり、
その他の部分にわずかな違いが見られるに過ぎない場合

(例2)同一性が認められない場合
(省略)

(2)商品又は役務について
出願商標の指定商品又は指定役務と使用商標の使用する商品又は役務とが
異なる場合には、指定商品又は指定役務について出願商標を使用しているとは認めない。

ただし、指定商品又は指定役務と使用する商品又は役務とが厳密には一致しない場合であっても、
取引の実情を考慮して、指定商品又は指定役務と使用する商品又は役務の同一性が
損なわれないと認められるとき
は、指定商品又は指定役務について出願商標を使用しているものと認める。
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なお、改訂前の第11版に例として明記されていたことを考慮しますと、
(例1)の②については、たとえば、明朝体とゴシック体の字体が、
これに該当するものと思われます。

「(2)商品又は役務について」は、欲を言えば具体例がほしいところでした。

その他、改訂12版では、「需要者が何人かの業務に係る商品又は
役務であることを認識することができるもの」の判断基準について、
使用商標が他の商標と組み合わせて使用されている場合の項目が追加されています。

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(4)商標を他の商標と組み合わせている場合について
出願商標を他の商標と組み合わせて使用している場合は、
出願商標部分のみで独立して識別力を有するに至っているかを判断する。
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3条2項については、商標実務上も適用事例が多いわけでなく、
基本的にほとんどの人は関わることはない規定ではありますが、
裁判で争われることも少なくありません。

いざという時のために、しっかりと押さえておきたい変更点と言えるでしょう。