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それって登録商標?普通名称?(2016年8月18日)

<新着コラム> by 永露祥生

登録商標を無断で使用すれば、商標権の侵害となります。ですので、当然ながら、事業者はこれを知らぬ間に使ってしまわないよう、注意しなければいけません。

一方で、最初は登録商標だったものが、後から普通名称化してしまうことがあります
たとえば、これまで市場に存在しなかったような、画期的な商品やサービスの商標にこれがよく見られます。消費者や需要者は、これらの商品やサービスの一般名称を認識していないことから、商標をあたかも一般名称のごとく呼び、使うことで、定着・一般化してしまうのです。後から普通名称となってしまった登録商標の例としては、「正露丸」(クレオソートを主剤とする丸薬)、「サニーレタス」(レタス)、「しろくま」(かき氷)、「フロアタム」(ドラムセットのうちの1つのパーツ)などがあります。

普通名称化してしまうと、商標権の効力が制限されてしまいます(商標法26条)。商標権者は、誰かが勝手に登録商標を使っていても、もはや止めさせることはできなくなってしまうのです。こうなると、商標登録をしている意味がほとんどなくなると言っても過言ではありません。ですので、商標権者は、様々な手段を講じて、自己の登録商標が普通名称化しないよう、日々注意深く管理する必要があります。

もちろん、使う側も注意する必要があります。「普通名称だと思って使っていたら、実は登録商標だった!!ヤバイ!!」ということにならないよう、思い込みに頼らず、マメな商標調査を行なうことが大切です。

とはいえ、いつも商標ばかり扱っている弁理士や知財部員はともかく、一般の人々にとっては、これが登録商標なのか、普通名称なのかという判断は難しいと思います。このような判断が微妙な商標は、通常さまざまな区分で登録を受けているケースが多いため、たとえ自分で「J-PlatPat」を叩けたところで、眼目の商品・サービスについて真に登録を受けているのかといった点を確認するのも困難でしょう。

そこで便利なのが、共同通信社から発売されている「記者ハンドブック(第13版)」です。この本には、「登録商標と言い換え」といった項目があり、「○○は登録商標だから、一般名称である△△△を使いましょうね」という例がたくさん掲載されています。たとえば、よく知られているところで、「ウォークマン → 携帯音楽プレーヤー」、「シーチキン → ツナ缶」、「ウォシュレット → 温水洗浄便座」、「UFOキャッチャー → クレーンゲーム機」などが載っています。

他にも、「えっ、これって登録商標だったんだ!?」というものが多く掲載されていますので、この「記者ハンドブック」はパラ読みするだけでも役に立ちます。というか、他にも文章を書くときのルールや注意点が多く掲載されており、物を書くことの多い知財実務家が持っていても損はしないと思います。値段も1,900円(税抜、第13版)とお手頃で、個人的にかなりオススメです。ちなみに、本屋さんの辞書コーナーに置いてあることが多いです。