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食品・飲料のための商標登録

食品のイメージ

食品や飲料は、人類にとってもっとも必要となる商品の一つです。
美味しいお菓子を食べたり、お酒をたしなんだりと、食品や飲料は人々の心を満たすという意味でも大切な役割を果たすものです。

本ページでは、食品・飲料について、商標登録の必要性や特徴などをご紹介します
食品業界の皆様、特に、はじめて商標登録をお考え中の事業者の方々にとって、ご参考になれば幸いです。


食品や飲料の商標登録が重要な理由

世の中には、食品や飲料について様々な商品が製造され、流通しています。
これらの商品には、商品名や、製造者・生産者を表わす文字・マークが使われており、他の商品との識別に役立っています。

このような識別標識となる「商標」があるからこそ、私たちは自分が欲しい商品を探し、購入することができるのです

ところで、食品や飲料は直接人間の体内に送られるものですから、健康面や衛生面への影響といった品質がとても大切になります。もし、品質の劣る模倣品や、消費者が誤認混同するような劣悪な商品が市場に出回った場合には、事業者は一刻も早くこれらを排除する義務があると言えます。

また、品質が劣る商品でなくとも、他社が商品名やパッケージを似せた商品を販売すれば、消費者が誤って購入することが考えられ、自社の売り上げや信用にも影響を受けます。このような便乗商法は、すぐに中止させなければなりません。

そこで強い味方となるのが、商標登録によって生じる「商標権」です
商標権があれば、権利の範囲内で、自分だけがその商標を使うことを独占することができます。また、他人が無断で使う行為をやめさせることも可能となります。
商標権の効力は、日本全国に及ぶため非常に強力です。

それでは、食品や飲料のついての「商標登録」とは、どのようなものでしょうか。


食品・飲料に関する商標登録の5つの特徴

食品や飲料に関する商品に使用する商標や商標登録には、その性質上、他の商品分野と比較して以下のような特徴があると考えられます。


飲料のイメージ

1.複数の商標が同時に使われるケースが多い

食品や飲料に関する商品については、商品名だけではなく、製造元を表わすロゴマークや、商品のシリーズ名などが表示されるケースが多いと言えます。

すなわち、これらの商品に使われる商標は必ずしも1つではなく、複数の商標が同時に使われることが多いのが特徴的と言えます。

したがって、他の商品分野よりも、商標登録の対象とすべき商標の数が比較的多くなる傾向があるのも、食品・飲料に関する商品の特徴と言えるでしょう。


2.パッケージの保護も重要

食品・飲料に関する商品は、スーパーやコンビニなどで、同じ種類のものがまとめて陳列され、販売されるのが一般的です。これらの商品は、箱やパック・容器などの形で売られることがほとんどですが、消費者が必ずしもそこに表された商品名やロゴマークだけを目印に、商品を識別し、購入するとは限りません。

たとえば、消費者が以前に購入した商品の包装箱の色合いや、文字・写真の構成など、パッケージデザインを記憶して、他の商品と識別することも少なくないでしょう。すなわち、このような商品については、パッケージデザイン全体で商標としての機能を果たすことも考えられるということです。

そのため、ライバルとなる他社が、商品名はまったく違っているものの、パッケージデザインを似せることで、商品を取り違えた消費者の取り込みを狙うかもしれません。この場合、たとえ商品名を商標登録していても、まったく違う名称が使われているため、当該商標権だけではパッケージのマネをやめさせるのは困難です。

そこで、食品や飲料の分野においては、商品名だけでなく、パッケージデザイン全体を商標登録するケースも少なくありません。パッケージデザインは意匠権による保護が有効と考えられますが、商標権も取得することでより保護が強固になると言えます。


3.一般名称を一部に含む商標が比較的多い

食品・飲料の商品に使われる商標は、内容や特徴が一見してわかるのが理想的です。
そのため、食品や飲料に関する商品名の商標には、その一部に一般名称を含むものが比較的多いことも特徴と言えるでしょう。

たとえば、「○○茶」、「〇〇パン」、「○○カレー」、「○○ケーキ」、「○○プリン」、「○○ふりかけ」などが挙げられます。

さて、このような特徴があるためか、食品・飲料の分野では、似たような商標が採用されやすい傾向があると言えます。そのため、ある商標とある商標が似ているかどうかがしばしば問題となることがあります。

上記例でいえば、「○○茶」と、そこから一般名称を抜いた「○○」の商標が似ているかどうかという問題です。商標の類似は、商標登録が認められるかといった場面や、商標権を侵害するかといった場面で結論を左右しますので、非常に重要です。

なお、過去に特許庁の審理において、食品・飲料分野の商品に使う商標が似ているかどうかが争われた例として、「気配り弁当」と「気配り」(2016-10432)、「養寿カレー」と「養寿」(2014-11846)などがあります。
これらは結論として、「似ている」と判断されました。

一方、「俺の蕎麦」と「俺の」(2015-900322)、「和(なごみ)の菓子」と「和み」(2015-9630)、「養寿麺」と「養寿」(2013-19026)などについても、これらが似ているかどうかが争われましたが、いずれも「似ていない」と判断されています。

一般的な感覚では「似ているのではないか?」と感じそうですが、食品・飲料という商品の性質や、実際の取引の実情から、「似ていない」と判断された例も少なくなく、このボーダーラインの予測が実務上も大変難しくなっています


4.商標の識別力が問題となるケースが多い

上述のように、食品や飲料に関する商品に使われる商標は、その内容や特徴が一見してわかるのが理想的と言えます。

そのため、商品の内容や特徴(品質)を表わした語を商標の一部に含んだり、場合によっては、これらと商品の一般名称を結合させた商標が採用されることが少なくありません。たとえば、「みかん」に使用する「あまいオレンジ」とか、「ミルク」に使用する「濃厚な牛乳」などが挙げられます。

しかし、このような表示は、商品の識別標識としての機能を発揮せず、また、誰もが使う必要のある語ですから、一般的には識別力が認められないとして、商標登録は拒絶されます。食品や飲料に関する商品に使われる商標は、わかりやすさを重視するためか、このように識別力が問題となる傾向が比較的多い特徴があります

ただ、一見すると識別力がないと判断されそうな語であっても、これがあくまで暗示的だったり、間接的なものであれば、商標登録が認められることがあるため、実務上はこのボーダーラインがしばしば争われています。

実際、このような一見識別力がないと思われるような商標は、消費者にとっては、「商品の特徴がわかりやすく、覚えやすい」ことから、非常に強い商標となり得ます。食品・飲料業界の大手企業などでは、商標戦略として、あえてこういった商標登録を狙ってくることも少なくありません。

したがって、「商標登録なんてされているわけないだろう」と思っていた語に商標権が存在している場合もあり、自己の商標を使い始める前の対策として、商標調査は必須と言えます。


5.分類される商品の区分数が多い

商標登録の申請には、特許庁に申請書(願書)を提出することが必要です。
願書には、商標を使用する(保護を求める)商品やサービスを記載します。
これらの商品やサービスは、種類や用途などによって、45のグループ(区分)に分類されています。たとえば、薬剤は第5類、電子通信機械器具は第9類、被服は第25類といった風に分けられています。

食品や飲料に関する商品は、特定の1つの区分ではなく、あちこちの区分に分類されているのが特徴的です(※詳細は後述)。

よって、商標登録の申請の際には、本当に保護が必要な商品を正しく含むよう、願書の記載には細心の注意が必要となります。


食品・飲料に関する商品の分類と区分

上述のように、食品や飲料に関する商品は、様々な区分に分類されます
以下でその一部をご紹介します。


<食品類>

第5類

食餌療法用食品、乳幼児用食品
※「食餌療法用食品」には、たとえば「腎臓病患者用パン」が含まれます。
 「乳幼児用食品」には、たとえば「乳幼児離乳食」が含まれます。


第29類

乳製品
食肉、卵、食用魚介類( 生きているものを除く。)
冷凍野菜、冷凍果実
加工野菜、加工果実
肉製品、加工水産物
油揚げ、豆腐、こんにゃく、納豆など
カレー・シチュー又はスープのもと
お茶漬けのり、ふりかけ その他

※「肉製品」には、たとえば「コロッケ、ハンバーグ、ソーセージ」が含まれます。
 「加工水産物」には、たとえば「かまぼこ、ちくわ、はんぺん」が含まれます。


第30類

菓子、パン、サンドイッチ
中華まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイなど
調味料、香辛料
穀物の加工品
ぎょうざ、しゅうまい、すし、たこ焼き、弁当など
米 その他

※「ハンバーグ」は第29類ですが、「ハンバーガー」は第30類に含まれます。
 似たような商品が別の区分に分類されていることがありますので注意が必要です。


第31類

野菜、果実(フルーツ)
食用魚介類( 生きているものに限る。)、海藻類 その他




<飲料類>

第5類

食餌療法用飲料、乳幼児用飲料、薬用酒
※「食餌療法用飲料」には、たとえば「糖尿病患者用の果実飲料(医療用のもの)」が含まれます。

第29類

牛乳、豆乳、その他の乳飲料
調理用野菜ジュース


第30類

茶、紅茶、コーヒー、ココア、カフェオレ その他
※「ミルク」は第29類に含まれますが、「ミルクコーヒー」だと第30類に含まれることになります。

第32類

ビール
清涼飲料、果実飲料、飲料用野菜ジュース、乳清飲料 その他

※「ビール」はお酒ですが、第32類に含まれます。

第33類

焼酎、清酒、洋酒、果実酒、酎ハイ その他
※なお、願書には「日本酒」と書くことが認められなくなりましたので注意が必要です
この場合、「日本国内産米を原料とし、日本国内で製造された清酒」と記載します。
<2018年4月13日追記>
2018年4月13日付けで、特許庁の運用に変更がありました。
『今後、「日本酒」の表示を指定商品・指定役務の表示として認めることとします。』
ということです。詳細は、こちらをご参照ください。



このように、惣菜の種類で違う区分だったり、冷凍されたものが違う区分だったり、飲料でも異なる区分だったり、かなり複雑となります。
初めての商標登録は、できれば専門家である弁理士に相談するのがお勧めです。

※注:上記の指定商品の表記は、過去に特許庁で認められたものですが、将来的に運用変更がなされる可能性があります。また、これらが属する区分についても、将来的に変更になる可能性がございますので、実際に願書を作成する際には、あらためてご確認を願います。


当事務所がお手伝いできること

紫苑商標特許事務所では、商標登録の代行を承っております

当事務所は、商標専門の特許事務所です。
横浜市青葉区で主に活動する弁理士が、ご依頼を担当させていただきます。
Eメールがご利用できる環境があれば、全国対応が可能です。

専門家に依頼することで、審査にパスできる可能性を高める申請書の作成や、商標を登録・使用する際の適確なアドバイスにご期待いただけます。
もちろん、貴社の時間や労力の節減にもつながります。

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