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失敗事例7:商標権侵害の警告を無視し続けたことによる大失敗

 事例の紹介

Y社は、日本を代表する大企業であり、商標管理を徹底している。
商標担当者も優秀で、商標実務について研鑽している者も多い。

ところが、ある日、Y社に内容証明が届いた。

中堅社員のMが中身を確認すると、それは同業のZ社からのもので、
「Z社は、商標Cについて商標登録を受けている。Y社が使用する商標Gは、商標Cに類似する商標である。
よって、Y社が商標Gを使用することは、Z社の商標権を侵害する。直ちに使用を中止せよ」という内容であった。

Mは独自に商標類否判断の実務を学んでいたこともあり、自社で使用する商標Gが、
Z社の登録商標Cとは非類似と判断されるべきものであると、直感的に判断できた。
そのため、後輩社員たちは警告書が届いたことで慌てていたが、
Mは「これは悪質な言いがかりだ。無視しておけばよい」と彼らに指示をした

1か月後、再びZ社から同様の警告書が届いた。
Mは、「しつこい奴らだな」と舌打ちをして、ろくに内容も確認せずに、後輩社員に再び無視することを指示した
日々の業務が多忙ということもあり、気に留める余裕も正直なかった。

しかし、それから数か月後、Y社の元へ届いたのは商標権侵害訴訟の訴状だった

なん・・・だと・・・!?」。
Mは送られてきた訴状を見て愕然と立ち尽くした。

そして、Mは「なぜ、勝手な判断をしたのか」と、上司に詰問され、
Y社は訴訟対応に多大な時間、費用、労力を要することになった・・・。

 教訓(当事務所からのアドバイス)

再三の商標権侵害の警告書を無視した結果、訴訟を提起されてしまった事例です。

たしかに、世の中で発せられる警告書の中には、「明らかな言いがかり」でしかないようなものが、
ある程度存在しているのも事実です。
また、金銭欲しさに警告書を手当たり次第に送付するといった悪質な商標権者も、残念ながら存在しています。
Mは、Z社からの警告書も、このような類のものと考えていたのでしょう。

しかし、後者のように悪質性が明らかであるような場合でなければ、
相手の警告書に対して無視を決め込むのは得策ではありません。


警告書を送った側も、貴重な時間を割き、費用をかけてまで弁護士や弁理士の代理人を立てているくらいですから、
何か強く思うところがあるはずです。相手も感情を持った人間であることを、決して忘れてはいけません。
Y社の誠意のない対応は、結果としてZ社の怒りを増長させてしまったことでしょう。

その結果、Y社はZ社に商標権侵害訴訟を提起させられてしまいました。

もちろん、判決としては、Mが考えたとおり、商標非類似として、
Y社はZ社の商標権を侵害しないと判断されるかもしれません。

むしろ、Z社も、そのようになることは想定の範囲内かもしれません。
裁判で負けてもいいから、誠意のないY社の足を引っ張ってギャフンと言わせてやりたい
そういう他愛のない理由による訴訟の提起だって、考えられるのです。

訴訟が起こされたことがTVのニュース番組などで報道されれば、
国民の持つY社のイメージにも少なからず影響が出るはずです。
Z社には、そのような狙いがあるのかもしれません。

また、最悪の場合、裁判所がY社の商標権侵害を認定する可能性もゼロではないでしょう。
Mは、特許庁における商標の類否判断を勉強していたようですが、
特許庁の類否判断と、裁判所の類否判断の結果が異なることは、実際には少なくありません。
差止請求や損害賠償請求が認められてしまった場合のY社の損失は、計り知れません。

以上の次第ですので、警告書が届いたときはお互いに誠意をもって、相手方の言い分を尊重しつつ、
根拠を示した上で論理的に、商標権を侵害しないことをきちんと回答するべきです


このような警告書が届いたときは、自分本位での判断は行なわず、
専門家である弁理士や弁護士に迅速にご相談されることを強くお勧めいたします。